新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。

入学の祝辞に代えて、少し皆様の頭の中をBrainstormingさせて下さい。

「沈黙は金」がまだ通用する日本で、自分の考えや気持ちを素直に伝えることを苦手としている人は少なくありません。残念ながら、”あえて発言するのが匿名で心無い中傷をする人たちだけ”なので、ますますしっかりした意見を持つ人が発言しなくなります。そのために日本人の思考回路はガラパゴス化してしまっており、高齢者の５０年前の意見がいまだに大手を振って通用します。しかし、年寄りや社会だけが悪いのではなく、それを黙って甘受している若い世代にも責任の一端はあります。世界の多様な発想やコミュニケーションの進歩から完全に置いておかれている現状は、日本の経済の停滞や後手後手に回る外交政策を見ていてもわかる通りです。
ところが、OECD諸国でそんなことになっているのは日本だけです。一流の研究者やキャリア組の候補生である皆さんが、英語はおろか、日本語でもまともにコミュニケーションが取れないというのは嘆かわしい状況です。以前、京大文系の就活学生から、「最終面接で早慶の学生と一緒になったら”負けた”と思う」、という話を聞いたことがあります。そんなにコミュ力にコンプレックスがあるなら、なぜ在学中に目先の成績/GPAばかりに気を取られたり、サークルやアルバイトに明け暮れたりせず、もっと多種の体験をし、幅広いコミュニケーションネットワークを築いていかなかったのか？

それは、種々の規制をかけてくる(まさか強制バイトまで？)ブラックなサークルに依存することで得られるものでもありません。ただベタベタ、なれなれしく仲良くなる、そしてツーカーなのでまた言葉を尽くさなくなる、というのとも違います。どんな相手(たとえ目上でも）とも、礼を尽くしたうえで、対等な話し相手として臆せず質問や意見発表ができる大人の関係の構築です。自分の言葉を駆使して話すようになると、自分の考えがまとまりやすくなります。自分の価値観も見えてくるので、人に流されなくなります。はっきり自己主張ができます。何を話していいかわからない、ということもなくなります。言葉には、そんな力が隠されているのです。だから、本音で話し合える仲間をたくさん作りましょう。

もしそれを、英語やほかの外国語でもできるようになれば、あなたの世界はもっと大きく広がります。皆さんの先輩方も、「英語ができないことが、進学や就活において弱点となる」という認識を持ち始めています。在学・留学中、完全に孤立して、寂しい図書館・ラボ通いだけで留学・学生生活を終わらせないように、皆さんには、日本語でも外国語でも、素直に気持ちや考えを伝えられるスキルを身に着け、ぜひ世界の人々と情報・知識・意見交換をしてほしいと思います。閉鎖的な日本社会より、議論にオープンな外国の方が、案外楽に話せるかもしれません。

そのお手伝いをするのが、国際高等教育院附属国際学術言語教育センター課外教育部門の役割だと思っています。自学自習の精神で、成績に関係なく、自分の弱点克服も、難関突破も可能です。１年を通して、様々な課外教育プログラムを提供していきますので、うまく活用して自分の可能性を最大限に引き出してください。手始めに、語学学習アプリでSpeakingの苦手意識を克服しませんか？

英語を話せないのは、あなたのせいじゃない！
正しい教材にまだ出会っていなかったから！
置いてけぼりにされる前に、話し始めましょう！