2020年9月の「言語とコミュニケーションに関するアンケート」結果
2021年1月25日 13時50分9月には、短期間ではありましたが、コミュニケーションに関するアンケートに多数ご参加くださり、ありがとうございました。やっと、コミュニケーション講座を始められる手筈が整いましたので、お約束通りアンケートの結果をご報告します。
言語とコミュニケーションに関するアンケート調査_グラフ(201010).pdf
まず驚きだったのは、皆さんが家族を除くと、他の人にかなり気を使っている点です。また、自己分析のところで、選択肢が内的要因(自分の非)ばかりで、外的要因(その場の関係性、相手)がないのは片手落ちだという批判がありました。唯一の外的要因は、「誰も教えてくれなかった(初/中等教育・家庭教育への批判)」だけですね。確かに、まずは両方を出してから、では自分が変えられるところはどこだろう、と説明すべきでした。別に、皆さんを追い詰めるための質問ではありませんでした。
またコミュニケーション力の定義として、「対等な立場で」はなく、「話す場や相手への考慮」、「言葉を選ぶ」、「取捨選択」など”忖度”に偏重した回答が多く出てきていました。
なお、コミュニケーション能力の概念には、社会言語学者Hymesがまとめたものがあります。これをさらに発展させ、まとめたのが下の図です(Canale&Sweine)。それによると、コミュニケーション力は4つの要素からなっています。
出典:https://www.learnalberta.ca/content/eslapb/understanding_the_acquisition_language_in_stages_working_towards.html
上半分が知識、下半分が実践能力です。日本の外国語教育では、左上の言語学的能力に偏重しているきらいがありますが、国際高等教育院の正課英語では、右下のDiscourse*能力の一つとして、学術言語のWritingや大学の授業を意識したListeningが学べます。課外教育では、左下の社会的要請(慇懃さ、公私の別など)や非言語的行動、文化性の反映を意識した表現力や右上の戦略的な言語投入の知識の増強等を目指そうとしています。
最後に自由書き込みは公開を控えましたが、大変心配な記載もありました。最終的に、ILAS課外教育では、皆さんの意識をより高みに導くお手伝いしかできません。具体的な問題の解決には、専門家のいる、学生総合支援センターに必ず相談に行ってください。https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/access.html
人は、幸せになるために生きていると、私は考えています。常に、自分らしくいられること、自分の考えや気持ちを素直に発言できることは、大きな喜びであり、楽しい人生を送る大前提だと思います。しかし、自分の意見を言うことが怖くてできない人も多くいます。一方、自分の意見を言える人も、相手も自分と同じように意見を聞いてほしいと願っているとすれば、相手の発言とどう向き合うべきか考える必要があります。相互の気持ちを認め合えば、だれとでももっと健全で対等な対話が生まれると思います。
自分も相手も大事にしながら成立させるコミュニケーション、できるようになってみませんか。
自己分析も兼ねて、ぜひ春の講習会にご参加下さい。
対面授業が可能になれば、課外ワークショップも新年度に計画したいと思っています。