2020年2月のパイロットプロジェクトに参加したモニター学習者から、アンケートで「改善点」としていただいた内容について、項目カテゴリーごとに解説したいと思います。
1.不適切な表記
モニター募集の際に断り書きをした通り、特に日本語の表記については、不適切なところが多々見受けられます。漢字/ひらがな表記から始まって、中国語ではローマ字で日本語が表記されているところもあります。これらは、3月12日を目安にすべて修正するとBUSUUが約束しています。おそらくすぐに全部改善されるとは思いませんが、来年度の本格導入までには、大部分が修正されていると思います。しばらく御辛抱ください。
アラビア語の表記の不備(左から右)は、BUSUUに報告しました。中国語によう音を付けてほしいことも要望として出しますが、何か意図があって付けていないのかもしれません。しかし、全くの初心者には、ハードルが高いですね。
2. 使い方の説明不足
多くの方から、使い方がわからない、学習のためのチュートリアルを付けるべきだ、等のご意見をいただきました。BUSUUは、intuitiveな学び方をコンセプトとして作られているようです。学問ではあまり使うことのない自分の直観に、敢えて従ってみてください。事務的には、登録したら右上にある「人の型」をしたアイコンをクリックしましょう。ウィンドウが開いて、設定とかHelpなどが出てきます。設定で表示言語も日本語に変えられますし、学習計画も設定できます。

3.レベルの選択・プレースメントテスト
既修者やCEFR(A1~C2)になじみのない方の場合、どこから始めたらいいかわからない、というご意見がありました。
実は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語には、プレースメントテストが準備されていて、アクセスの仕方によってポップアップする時としない時があるようです。見つからない場合は、2.で説明したアイコンから設定<アカウントを選んで一番下までスクロールすると出てきます。

4.学習の内容
a. いきなりB2と判定されたが、もっとやさしい単元にも知らない語や文法があると気づいた。
こんな場合は、自由に戻って勉強しましょう。私もフランス語で途中からと判定されましたが、結局かなり戻って語彙や文法を再チェックしました。
b. 語彙や文法の復習をまとめてやりたい、という希望がありました。
これは
を選択すれば、できます。語彙と文法で切り替えられます。
但し、語彙は、自分の履修したレッスンで出てきたものしかまとめられていませんので、a. の通り、必要に応じて遡及的に学習しなおすことも有意義です。今のところ、自分の単語帳は作れないようです。
c. レベルが易しすぎるというご意見もありました。
すべての言語についてB2まで準備されており、これ以上のC1は、英語のthe Economist で少し準備されているだけです。確かに、英語のB2の最後の方は、あまりに優しすぎるように見えます。しかし、B2までできれば、その言語で普通にTVニュースや新聞をインターネットで見たり、読んだり、聞いたりできるはずですから、そうしたメディアで実践的な勉強を続けてはどうでしょう。Speaking & Listeningも含めてここまでできれば、もうアプリは卒業のレベルということです。
d. 文法が説明不足で、よくわからないまま学習が進む
日本の文法重視型学習方法で学んできた人には、この欧州型のメソッドは非常に不安だと思います。しかし、これこそが、日本で外国語が話せる人が少ない主因だと思われます。とりあえず、しばらくそのまま続けてみましょう。なんとなく感じがわかってくると思います。外国語に音から入るのも、一つの方法です。学習感覚なく勉強して、気が付いたらその言語を使えるようになっている、というのが、国際高等教育院がこのアプリを導入する狙いです。「習うより慣れろ」です。もちろんスペルや文法の練習も忘れずに。
ただ、会話ではいきなり、最初に習った語彙よりずっとたくさん難しい単語が出てくるので、かなりきついですね。これは語彙のところでもっとフォローしてくれるようBUSUUに希望を出します。私の印象では、先に取り上げている語彙が易しすぎるようです(英語のB2など)。
文法を重点的に深く理解したい方は、アプリに頼らず、従来の通り本で勉強してください。このアプリでは、言語を実際に使うのに最低限必要な文法をカバーしている、と思ってください。英語の文法学習には、私自身の経験から、Murphyの“EnglishGrammar in Use“ Cambridge UniversityPressをお勧めします。レベルによって種類がありますが、基本から学び直したい方は、BasicやEssentialから入ると、日本の中学校で学ばなかった内容が明確に記されていて「目からうろこ」体験があるでしょう。解答付きの原書Interactive付の2018/19年度版が最新版です。StudentEditionのペーパーバックの方が安価です。
e. 回答の書き直し・取り消しができない
大抵の問題は、取り消しができます。それには、回答欄に挙がってしまった単語をもう一度タップしてください。元に戻ります。ただ、文を作っていて、文の前方に再帰代名詞を忘れたことに気づいた場合など、そこまで全部消して戻る必要があり、間に挟み込むことはできません。
それと、うっかり誤って選んだ途端、正誤が判定されることがありますが、これは集中力を高めることで避けられるでしょう。
f. 音声認識があまりよくない
おっしゃる通りAIの限界です。いろいろ試して気づいたのは、スムーズによどむことなく話し、イントネーションさえあっていればOKが出るようです。って、そんな簡単に言わないで、といわれるでしょうが、何度も見本をまねて練習するしか方法はありません。楽してうまくなろうなどと思わないでください。私も英語を試していますが、最近やっと1回目からOKが出るようになりました!努力あるのみ!
5.ネイティブ生徒による添削について
これには、大変良いとする考えと、あまりよく機能しないという意見に分かれました。後日、もう少し詳しく調べたいと思います。特につながりたくない人は、添削だけしてもらう、時々日本語の添削をしてあげる、くらいで止めておけばよいと思います。