ドイツ語コースの目的とカリキュラム(初級)

ドイツ語は他のヨーロッパの諸言語とともに、ヨーロッパ文化の基本を形成してきた言語です。とくに日本では、明治以来、ドイツ語の修得を軸にしてヨーロッパ文化の摂取が進められてきました。医学用語の「カルテ」、物理学用語の「エネルギー」などは、そのような背景があって現に「日本語」となっているドイツ語由来の言葉です。また、ドイツ語は英語と同じ起源に遡る言語であり、文法も語彙も英語ととてもよく似ています。むしろ、ドイツ語の学習をつうじて英語の理解が深まる側面もあるほどです。ドイツ語クラスでは、このようなドイツ語を、現代の国際社会を理解するうえで不可欠の言語と位置づけ、ドイツ語の基礎の学習をつうじて、多文化社会を生きてゆく学生に必須の教養形成に資することを目指しています。

ドイツ語初級カリキュラム

CALL初級(文法)

CALL初級(演習)

CALL中級

ドイツ語担当教員紹介

河崎 靖 吉田南総合館(北棟)4116 ゲルマン語学・一般言語学・比較神話学

 言語史を志す場合、たとえ対象がドイツ語あるいはゲルマン語でなくても、先行研究がドイツ語で書かれていて、このドイツ語文献を読みこなしていく必要があることを聞き知っていました。当初は歴史学を大学で専攻しようと考えていましたが、結局、言語の歴史を極めたいと思うようになりました。ただ、一般言語学の領域ではフランス語の文献で重要なものが多く、2回生でフランス語を学び始めました。現在は、言語の多様性の背後に見え隠れする普遍的特質を考究することによって、言語体系の法則性・言語変化のメカニズムを探り、そのあり方を解明することを通して、言語の本質に迫ることを目指しています。


細見 和之 吉田南総合館(南棟)411 ドイツ思想・比較文学

 大学への入学時点で哲学を勉強するつもりでした。それで、フランス語かドイツ語か。ドイツ語は難しいと言われ、才能の乏しい自分には努力でカバーできてかえってよいかとドイツ語を選択(いまはおよそ言語に難易の差はないと考えています)。学生時代、訳書を傍らに辞書と首っ引きでカントやヘーゲルを読みました。マルクス、ニーチェ、フロイト、ハイデガー……彼らの思想を原書で読めるのはやはり魅力。そこまでいかなくても、ドイツ語の世界はみなさんの人生を豊かに彩ってくれるはずです。初修外国語教員としての私の目標は? たとえば第九の「喜びに寄す」を原語で理解して歌えるようになっていただくこと――歌唱指導まではできかねますが。


小林 哲也 吉田南総合館(南棟)419 ドイツ文学・思想

 私がドイツ語を学習しようと思ったのは、カント、ニーチェ、マルクス、ヴェーバーといった思想家・哲学者たちのテクストを読みたかったからでした。ドイツ語学習は簡単ではありませんでしたが、文法や綴りが比較的体系的に把握できるのが大変楽しかったことを鮮明に覚えています。曲がりなりにも読めるようになってからは、多くの思想家のテクストを紐解いては苦渋しつつも多くを学び、現在は、ユダヤ系作家・思想家のヴァルター・ベンヤミン周辺を専門として、ドイツ文学、ドイツ思想史の領域で研究を進めています。授業中には、折に触れてドイツ文学や思想についてお話しできればと思います。 


菅 利恵 吉田南総合館(北棟)4124 ドイツ文学・ジェンダー論

 大学でドイツ文学を専攻して以来、ドイツは私にとって、自分が生きている場所から少し離れて、いつもとは違う角度からこれを見なおすときの支えになってきました。少子高齢化やグローバル化をはじめ、私たちが直面する課題の多くはドイツでも共有されています。ドイツ語が読めるおかげで、今ある問題について私たちとは違う反応、違う試行錯誤を知ることができ、それが考えるヒントにつながってきました。現在の、また過去の裂け目と向き合いながら、自分の手で文化を作り上げようとする気概に満ちた人や取り組みを多く知ることもできました。ドイツ語は私にとって、頭と心の風通しを良くしてくれる窓のようなものになっています。


西脇 麻衣子 吉田南総合館(南棟)219 ドイツ語学・ドイツ語史


須藤秀平 吉田南総合館(北棟)4126 近現代ドイツ文学

 私が外国語を学んだきっかけは、文学作品を原書で読みたいというものでした。しかし、実際にドイツ文学を専攻し、ドイツ語の習得のために外国人の先生や友人と関わりを持つ中で、ドイツ語圏の文化や歴史にも関心を寄せるようになっていきました。その結果、文学研究にも歴史学の側面があり、歴史的・文化的背景への目配りが不可欠だと考えるようになりました。ドイツ語を学ぶ過程こそが、私の目を世界に対して開いてくれたわけです。とはいえ、留学中のベルリンの地下鉄の中でドイツ語の小説を、辞書を引かずに(もちろんわからない単語もたくさんありましたが)読み耽ったときの感動もまた、今でも忘れられません。


Luisa Zeilhofer 吉田南3号館404 外国語としてのドイツ語・教育心理学

 Jede neue Sprache ist ein Schlüssel zu einer neuen Welt. Japan und die japanische Sprache sind meine Leidenschaft und haben mir eine neue Welt eröffnet. Genauso wünsche ich mir, meinen Studenten und Studentinnen einen neuen Schlüssel an die Hand geben zu können. Meine Forschungsschwerpunkte liegen derzeit bei der Kombination von Fremdsprachenlernen und Achtsamkeit.

 新しい言語は、新しい世界への鍵。日本語は私に新しい世界を開いてくれました。それと同じように、私もみなさんに新しい鍵をGETするお手伝いをしたいと思っています。ドイツ語はどのような言語かまだ知らない人も多いと思いますが、実は皆さんは既にArbeit (アルバイト)、Thema (テーマ)、Karte (カルテ)、Lupe (ルーペ)、Rucksack (リュックサック)、Energie (エネルギー) 、Allergie (アレルギー)、Neurose (ノイローゼ)など沢山のドイツ語の単語を知っています。ぜひ皆さんにはドイツ語を身近に感じてほしいなと思っています。私の専門はDeutsch als Fremdsprache (外国語としてのドイツ語)です。現在、外国語学習とマインドフルネスの関係について研究しています。


TRAUDEN, Dieter