スペイン語コースの目的とカリキュラム(初級)

京都大学における教養・共通科目としてのスペイン語コースの目的は、スペイン語学習を通じて、現代世界の中での自分の位置を確認することです。 「教養」とは、世界における自分の位置を知るための地図です。学習を通じて各自が作り上げていく「教養」地図の一部を、スペイン語学習を通じて構成していきます。また、地図だけがあっても、現在地がわかっていなければ、人生の道のりを考えることができません。現在地をつかむため、スペイン語圏の社会や文化を参照しつつ、自分という存在を社会的に認識するという作業も行います。スペイン語圏は地理的に広範囲にまたがると同時に、内部に大きな文化的・言語的・社会的・歴史的多様性を抱えています。したがって、自分という存在を相対化するために適切な「なにか」がみつかる可能性も比較的高いと言えるでしょう。そうした特徴を活用しつつ、「教養」地図に自分の現在地を書き込み、自分の将来についても考えてみましょう。

スペイン語初級カリキュラム

スペイン語担当教員紹介

塚原信行 吉田南1号館304 社会言語学・言語政策

 大学ではスペイン語を専攻しましたが、スペイン語を選んだことに特に目的があったわけではなく、合格した大学のうち、一番学費が安いところを選んだに過ぎません。そうは言っても、せっかく専攻したのだからそのうちしっかり勉強しようと思っている間に3年が過ぎ、学部4年目に1年休学してスペインへ行きました(当時は交換留学といった仕組みはありませんでした)。この時の経験が人生を大きく変えることになり、その後紆余曲折を経て、教員になりました。

 日本社会は驚くほどモノリンガルな空間です。その善し悪しは別としても、これは決して人間社会の平均的な有り様ではありません。初修言語を学ぶみなさんには、まずはそのことをよく意識して欲しいと思います。また、別の言語を身につけている人と身につけていない人では、見えている風景がしばしば異なっています。初修言語を学ぶ経験を通じて、他者が見ている風景を尊重する意識を持てるようになって欲しいとも思っています。