ライティングプロジェクトⅡの説明

 このプロジェクトは、2021年度に、京都大学・東京都立大学と輔仁大學(台湾)との間で行われた共同ライティングに関するものである。この共同ライティングプロジェクトは、従来のマウスプロジェクトに欠けていたコラボレーションスキルを含むものであり、マウスプロジェクトの発展型である。大きな特徴は、海外の学習者と会話形式で協力してテキストを作成していくことにある。従来のマウスプロジェクトがマウスの旅を描くストーリーを作成していたのに対し、このプロジェクトでは、マウスの友達であるエレファントが参加するという設定があり、学習者はそれぞれマウスとエレファントの役割を担い、会話形式で自分の住んでいる街や文化、伝統、日々の生活などを紹介しあう。Google Docsを使用することで写真の添付やスムーズなやりとりが可能となっており、会話の内容はドイツ語のみを使用すること以外は基本的に自由であり、本当にお互いに知らないことが多いためオーセンティックなコミュニケーションとなる点が特徴である。他の学習者同士のやり取りも見ることが可能であるため、特に日本の学生にとって、他国の学習者の意欲やレベルを知ることは大きな刺激となり得る。

 この共同ライティングプロジェクト実施に際して問題となる点は、...

Zeilhofer, Luisa「教室を飛び出し世界でつながる外国語授業 プロジェクト型学習で学生は何を学ぶのか?」『ことばと社会』24号、pp.152-153