ポスタープロジェクトの説明

 ポスタープロジェクトは、やはり学生が少人数をつくり、グループごとにドイツ語でポスターを作成し、後期の授業の最終日にポスターを掲示し、それについて5分程度のプレゼンテーションを行うものである。ビデオプロジェクトと同様、学習者の外国語運用能力はまだそれほど高くないため、発表の際は、イントロダクションをドイツ語、その後は日本語とした。これまでのポスタープロジェクトには二種類あり、一つは2018年度より行っている学術ポスタープロジェクトである。医学部の学生を対象にしたこのプロジェクトは、その名の通り学術的なポスターを作成するものである。初回であった2018年度のテーマは「血液について」であり、血液に関したテーマのポスターをグループごとにドイツ語で作成した。学生からは、自分の興味のある専門分野について学習できることが良い経験になったとの声があり、自分の専門分野と外国語学習を結びつけたことが学生のモチベーション維持・向上に一定の効果をもたらしたと考えられる。自分の興味のある内容を学習目標言語で調べさせ、それでは理解しきれない内容についてはさらに母語も組み合わせて学習させることで、外国語学習と専門分野学習との相乗効果を期待した。実際にドイツと日本の医療制度の違いを自主的に学習する学生や、日本で使用されている医療用語への理解を深めた学生などがおり、自立学習に一定の効果があったと考えられる。2019年度は「遺伝子」、2020年度は「アレルギー」、2021年度は「免疫力」についてポスターを作成した。

 前節でも述べたように、コロナ禍でビデオプロジェクトが...

Zeilhofer, Luisa「教室を飛び出し世界でつながる外国語授業 プロジェクト型学習で学生は何を学ぶのか?」『ことばと社会』24号、pp.159-160