ビデオプロジェクトの説明

 ビデオプロジェクトは、学生が5人程度でグループをつくり、5分程度のビデオをドイツ語で作成し、最後の授業でビデオ上映会を行うものである。このプロジェクトが行われるのは後期に入ってからだが、それでもドイツ語学習期間はわずか数ヶ月であるため、複雑な会話を入れ込むことは難しい。だからといって単調なビデオになるわけではなく、ドイツの伝統的な料理を実際に作る過程を説明したビデオや、ドイツ語でコントに挑戦しているビデオなど、作品の内容は多様性豊かである。顔を出したくないという学生の中には、LEGOを使用し、ストップモーションアニメを作成する者もいた。学生のクリエイティビティにはまったく驚かされる。教師は普段の授業に加え、グループでビデオを作成する時間を与え、グループごとにセリフの添削を行った。初めて行ったビデオ上映会では、他のグループが話している内容を理解できない学習者も多くいたため、これを反省点とし、次年度からは母語での翻訳字幕の追加を義務付けた。また、グループによる録音レベルの違いや、雑音や逆光が多く含まれるなど、作品としての完成度に大きな差があったため、それらを避けるためのチェックシートを作成した。さらに、プロジェクトの初回説明時に前年度の優秀作品を紹介することで、全体的な作品のレベルの底上げを図った。作品の提出前にチェックシートの確認を徹底させたことで最低限の品質は確保され、安心してビデオを鑑賞できるようになった。コロナ禍により授業がオンラインへの移行したり、対面授業であってもソーシャルディスタンスの確保が要請されたため、ビデオプロジェクトは中止となったが、状況が改善されれば再度実施する予定である。

Zeilhofer, Luisa「教室を飛び出し世界でつながる外国語授業 プロジェクト型学習で学生は何を学ぶのか?」『ことばと社会』24号、pp.158-159

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